類型夢・夢の象徴の一覧(新宮一成 著『夢分析』より)
岩波新書の『夢分析』新宮一成(京都大学大学院人間・環境学研究科教授 当時)著から、類型夢、夢に出てくるシンボルの解釈などの部分を抜粋してみました。夢を読み解きたいときに、書籍をパラパラとめくって該当箇所を探すのはなかなか大変ですので、リファレンスになるような一覧表になることを意図しています。
本書を読めばわかるのですが、何かが出てきたから必ずこれ、ということではなく、その人の属性や置かれている状況、夢の前後の文脈などから判断する必要があります。ページ数も記載していますので、可能なら本書に掲載されている夢の実例や解説をあわせて読んでいただけるといいのかなと思います。
すでに絶版なので書店には売っていないと思います。数はそれなりに出ているようで、中古で定価以下で入手できると思います。フロイトの『夢判断』がベースになっているようですが、新宮氏の独自の解釈も含まれています。
| 夢の類型・象徴 | 表わしているもの | ページ | 書籍からの引用 |
|---|---|---|---|
| 空を飛ぶ | 言葉の獲得、別世界への移行 | 5 | 「言葉を初めて話すようになるのは、いうまでもなくもっと幼い頃である。しかしこのことは、空飛ぶ夢が、言葉を初めて話したときの記憶であることと矛盾はしない」 |
| 〃 | 「タカイタカイ」の記憶 | 6 | 「フロイトが『空飛ぶ夢』について最初に与えた解釈は、この夢がまさに『タカイタカイ』の記憶であるということだった」 |
| 球技 | 会話、ボールが言葉 | 13 | 「夢の中での球技は、ほぼ確実に現実の会話を表わしている」 |
| 飛び続ける | 別世界の住人になる、自分以外のものになる、死 | 21 | 「飛びつづける夢は、死ぬということの象徴表現となる」 |
| 肉 | 社会的価値 | 39 | 「この肉は『商品』であり、社会的価値を体現している」 |
| 〃 | 自己の価値 | 45 | 「『肉』は、科学や文学という社会化された枠組みの中から見た、自己の価値の等価物であった」 |
| 死体 | 失われた自分 | 47 | 「この『死体』が、幼いころに存在して今は失われている自分だというふうに考えてみよう」 |
| 火 | 排尿を我慢する感覚 | 53 | 「一般に夢の火は、排尿を我慢する感覚に直結しており、しばしば、夜尿における親との葛藤や燃えるような恥の感情を想起させるものである」 |
| 〃 | 男性からの悪影響 | 57 | 「この『火事』が、彼女の現在の年齢ではもはや夜尿の危険でないことは明らかである。(略)『緞帳に火が移らないように』というのは、女性である彼女にその火が移らないようにということである」 |
| 虫にたかられる | 妊娠 | 63 | 「成人の『虫にたかられる夢』が妊娠の観念に対応しているというはっきりした事実は、このように幼児のたてた生命起源理論を我々が記憶のどこかに保存していることから来ているのである」 |
| 水に入る、水から出る | 分娩、出産 | 71 | 「分娩あるいは出産を表わす類型夢は、『水に入る、もしくは水から出る』夢である」 |
| 洪水 | 排尿 | 73 | 「この夢に現れているような『洪水』は、『類型夢』の一つであり、『尿排泄象徴』としてよく知られている」 |
| 蛇 | 妊娠 | 82 | 「俗に『女性が蛇の夢を見たら妊娠』と言われることがあるが、『蛇』を『虫』の一種と考えるなら、これは確かに、『虫にたかられる夢』のことを言っていると言える」 |
| 橋 | 男性性器 | 84 | 「夢の中での『橋』は、『つなぐもの』としての男性性器を象徴することが多いが」 |
| 裸で困る | 自己開示欲求 | 84 | 「『裸で困る夢』は、子どもというものは裸でいることを好み、服を着せられることにしばしば反抗するという事実と深く結びついているのであるが、さらに、夢を見る前の日に、自分をさらけだしたいという気持をもったことがなかったかどうかを検討しておくことを忘れてはならない」 |
| 木という材質 | 女性の身体 | 92 | 「あるものが『木でできている』ということが夢で際立っているときは、それは女性の身体の根本的属性を表わしている」 |
| 数字の三 | ファルス | 93 | 「フロイトはすでに、『三』は『ファルス』の象徴であるということを述べている。この場合の『ファルス』の意味は、現実の男性性器から、男性の性欲や生殖能力、あるいは女性と対比した場合の男性一般の存在にまで広がっている」 |
| 数字の四 | 結婚、完全性 | 93 | 「フロイトは論じていないが、私見によれば『結婚』の象徴となる。ユングは『四』を神聖な役割を与えられた数であると言い、『完全性』の象徴だとしている」 |
| 数字の二 | 女性 | 107 | 「『二』は『三』と組み合わされたとき、女性を表わすことがある。このとき『三』はファルスというより男性という意味をもつ」 |
| 数字の六 | 性的結合、まだ結婚していないこと、婚約 | 110 | 「夢の中の『六』は『性的結合』の観念を象徴する傾向がある。ここでは『六』は、『まだ結婚していない』こと、つまり全体を表わす『十』から結婚を表わす『四』を引いた数として、『婚約』を表わすものになったのではないかという推測ができる」 |
| 車にひかれる | 性交 | 117 | 「『車にひかれることは性交』という繋がりは、すでにフロイトの『夢判断』の目次にも採用されているほど顕著な事実なのである」 |
| 近親者が死ぬ | 男児の父殺し、女児の母殺し | 142 | 「男の子が男親の、女の子が女親の死去を望むことが、本来のエディプス的幻想のパターンであるが」 |
| 試験 | 性的能力の確認、成人として自覚・承認 | 145 | 「フロイトは人間としての自覚のことにふれるかわりに、むしろ夢の『試験』が、性的能力の確認という課題を担っていると論じている。確かに自覚と生殖能力が、未成年があるとき急に成人として認められる際の分かちがたい二つの要件であることは、あらためて言うまでもないであろう」 |
| 家、母屋 | 女性の身体 | 159 | 「『家』は女性の身体の象徴である。ここで『母屋』という限定が、理由なく使われているのではないことは明らかである」 |
| 物置 | 子どもを蔵する場所 | 159 | 「『物置』は子供を蔵する場所である。彼が求めているのは、母の乳房から乳という水分を得ることに他ならない」 |
| 坂を上る | 性的興奮 | 159 | 「『坂を上る』ことが『性的興奮』を表わすという類型夢論が、ここに潜むエディプスの性的成分を暗示する」 |
| ベッド | 自分の位置 | 209 | 「ベッドというのは『私の位置』である。したがって、そこにいる「死体」は、何らかの意味で私を表わしているはずである」 |
| 電話 | 夢の外側への接続 | 229 | 「夢で『電話』が出てくることは多い。これは、夢の外側へつながろうとする、夢自身の意向を表現している。すなわち夢は、夢の中で何が起こっているのかを、夢から醒めたあとの夢主体に、前もって知らせておこうとしているのである」 |

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